とびひ
とびひ
虫刺されやあせもの掻き壊しから細菌が入り込み、火事の「飛び火」のようにあっという間に全身へ広がる皮膚の感染症です。
高温多湿な環境で繁殖しやすいため、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医への早めの受診と適切な「抗菌薬(飲み薬・塗り薬)」による治療が完治への最短ルートです。
患部周辺を石鹸の泡で優しく洗い流し、タオルの共有を避けるなど、ご家庭での正しいスキンケアと感染対策が非常に重要です。
「とびひ」は、医学的には伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と呼ばれる細菌による皮膚の感染症です。ブドウ球菌や、れんさ球菌など、皮膚に誰もが持っている菌が突如として感染症を起こしたものです。
虫刺され、あせも、湿疹などを掻き壊した小さな傷口に細菌が感染し、水ぶくれやただれを作ります。そこから浸出液(汁)が出たり、かさぶたになったりし、その手で別の場所を触ることで、火事の火の粉が飛び散るように次々と症状が広がることから「とびひ」と呼ばれています。
特に乳幼児〜小学生のお子様に多く見られますが、大人でも感染することがあります。
区別する病気:湿疹 中毒疹 水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡 その他類天疱瘡群 その他天疱瘡群 水疱症 接触皮膚炎 熱傷 固定薬疹 体部白癬、顔面白癬 皮膚カンジダ症 全身性接触皮膚炎 菌状息肉症 円板状エリテマトーデス 類乾癬 ジベルばら色粃糠疹 肥満細胞症 穿孔性皮膚症 など。
経験を積んだ皮膚科専門医では上記を頭の中で考え数秒で区別ができることが多いです。(ときにはそうでないこともあります)。皮膚の病気は1000以上あるため、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医以外ではそれらとの区別ができません。

びらんからかさぶたになりかけているとびひ
当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)では、海と山に囲まれた自然豊かな環境である一方、夏場は非常に高温多湿になりやすい気候特性があります。
響灘グリーンパークや平尾台などでのアウトドアレジャー、海遊びなどで虫刺されを経験するお子様も多く、また蒸し暑さによるあせもの発症も少なくありません。
さらに、春先には黄砂やPM2.5の飛来、スギ・ヒノキ花粉の影響で皮膚のバリア機能が低下し、湿疹になる方も多くいらっしゃいます。
こうした「皮膚のバリア機能の低下」と「高温多湿による細菌の繁殖」が重なることで、北九州地域ではとびひが急速に悪化しやすい環境が整いがちです。ひびきの皮ふ科では、地域の環境やライフスタイルに合わせたきめ細やかな治療を行っています。
はじめは赤いだけです。皮膚がむけてびらんになり、
汁が出てじゅくじゅくになり、痛みが出ます。いろいろ飛んで(飛び火して)新しい部分ができます。じゅくじゅくしたところがくっつくと他の人にもうつります。鼻の穴をいじって、そこにいる菌が全身にうつって広がることもあります。とびひは、原因となる細菌の違いにより大きく2つの種類に分けられます。

水ぶくれが破れびらんになっています。頭のとびひ

かさぶた(痂皮)になっているとびひ
| 種類 | 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん) | 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん) |
|---|---|---|
| 原因菌 | 黄色ブドウ球菌など | 化膿レンサ球菌等(まれに黄色ブドウ球菌も) |
| 発症しやすい季節 | 主に夏(高温多湿の時期) | 主に夏(高温多湿の時期) |
| かかりやすい年齢 | 7歳未満の乳幼児・小児に多いが成人も。 | 年齢問わず(大人にも多い) |
| 主な症状 | 米粒〜小豆大の水ぶくれができ、すぐに破れてジュクジュクに。強いかゆみを伴う。 | 赤く腫れて膿を持ち、厚いかさぶた(痂皮)ができる。発熱やリンパ節の腫れを伴うこともある。 |
| 特徴 | とびひの大多数を占める。 | かさぶたが目立つがジュクジュクもある |
とびひは、健康な皮膚に突然発症するだけではありません。以下のような要因で皮膚のバリア機能が壊れたところに細菌が入り込むことでも発症します。

腕のとびひ びらん(皮膚がなくじゅくじゅく)になっています。
虫刺され・あせもの掻き壊し:強いかゆみから掻きむしることで傷ができます。
アトピー性皮膚炎や湿疹:日常的に皮膚のバリアが弱く、掻き傷ができやすい状態です。
すり傷・切り傷:外遊びでのケガから細菌が侵入します。
鼻いじり:鼻の穴の入り口には「黄色ブドウ球菌」が常在していることが多く、鼻をほじった指で触ることで感染します。
とびひの治療の基本は、原因菌を退治する抗菌薬(抗生物質)の内服と外用です。
近年は市販薬や以前処方された抗生物質が効かない「耐性菌」が増加しているため、専門医による適切な薬剤選択が不可欠です。
20%程度は通常の抗生物質が効きにくいぶどう球菌もいますので、はじめに検査してどんな菌なのか、どんな抗生剤が効くのかを確かめることもあります。時にはうまく結果が出ないこともあります。乾いていたりして検査できないこともあります。何日かかかりますが、その結果を参照して、抗生剤をいろいろ考えて当院では処方を行います。塗り薬のことも飲み薬のこともあります。通常は7日程度で治りますが、薬が効きにくい菌では2週間、3週間など長くかかることになります。治癒したあとも、何回か繰り返す人もいますが、抗生剤で治りますので、心配はありません。
症状の広がり、種類を確認します。必要に応じて、細菌の培養検査を行い、原因菌と有効な抗生物質を特定します(耐性菌のチェック)。
症状に合わせて、最適な抗菌薬を処方します。かゆみが強い場合は抗アレルギー薬(かゆみ止め)の内服も併用します。
お薬がしっかり効いているか確認します。6割程度のかたでは、数日〜1週間程度でかさぶたになり治癒へ向かいます。
| 種類 | 薬の役割・特徴 | 代表的なお薬(例) |
|---|---|---|
| 外用薬(塗り薬) | 患部の細菌の増殖を抑える。ジュクジュクしている場合は軟膏ベースのものを使用することが多いです。 | ゼビアックス、アクアチム軟膏、フシジンレオ軟膏、など |
| 内服薬(飲み薬) | 体の内側から細菌を退治する。全身に広がっている場合や治りにくい場合に必須となります。 | ケフラール、フロモックス、セフゾン、メイアクト、ファロムなど(セフェム系・ペネム系など) |
| かゆみ止め(内服) | 掻き壊しによる悪化を防ぐため、かゆみが強い場合に処方します。 | ロラタジン、エピナスチン、レボセチリジン、ビラノア、ジルテックなど |
※ステロイド外用薬は、細菌の増殖を助長する恐れがあるため、通常はとびひの部位には使用しません(湿疹が混在している場合など、皮膚科専門医の判断で慎重に併用しないと治らないことはあります)。
お薬の治療ほどではありませんが、ご家庭でのケアも治癒のスピードを左右します。
「濡らしてはいけない」は誤解です。1日1〜2回、シャワーで洗い流すことが重要です。石鹸をしっかり泡立てて、手で撫でるように優しく洗い、細菌や浸出液を洗い流しましょう。
ご家族への感染を防ぐため、タオルの共有は避け、患者様はペーパータオルを使用するか、一番最後に入浴するようにしてください。
無意識に掻いてしまうことを防ぐため、爪は短く、滑らかに切り揃えておきましょう。
原因菌が指先につくのを防ぎます。
とびひはじゅくじゅくしたところが他の人にくっついて他の人にうつることがあるので、治療開始後は、うつりにくいように、ガーゼ、カットバン、服で隠してもよいです。兄弟でお風呂に一緒に入って移ったり、親子で感染することもあります。プールは他の人にうつることがあるので、入れません。
とびひは「あっという間に広がる」のが特徴ですが、皮膚科専門医での適切な治療でスムーズに改善します。肌に怪しい水ぶくれやただれを見つけたら、悪化する前に北九州市八幡西区ひびきのの「ひびきの皮ふ科」へお気軽にご相談ください。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年2月23日