ほくろ
【要点】ほくろで大切な3つのポイント
1
ほくろの多くは良性ですが、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)など見逃してはいけない病変が紛れているため、自己判断せず皮膚科での確認が大切です。
2
悪性黒色腫の診療経験がある日本皮膚科学会認定皮膚科専門医のもとで、適切な診断・治療方針を立てることが重要です。
3
手術は保険適応。ダーマスコピー(拡大鏡)診察で、良性・悪性の見分けに役立つ所見を確認することがあります。
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「このほくろは大丈夫?」「最近少し大きくなった気がする」――このような不安で受診される方は少なくありません。 ほくろの多くは良性ですが、皮膚科診療では“ほくろに見える皮膚がん”を見逃さないことがとても大切です。 ひびきの皮ふ科では、見た目だけで決めつけず、必要に応じてダーマスコピーや切除・病理検査を検討し、医学的な安全性を重視して診療を行います。
ほくろとは
「ほくろ」は医学的には平たいものを色素性母斑(しきそせいぼはん)、または隆起したものもあわせて母斑細胞母斑と呼ばれます。 見た目はさまざまで、色・形・大きさ・部位には個人差があります。
ほくろの特徴
| 項目 |
特徴 |
| 色 |
黒、黒褐色、茶色、こげ茶、肌色 など |
| 形 |
平ら(平坦)、少し盛り上がる、はっきり隆起する |
| 大きさ |
1mm程度の小さなものから、数mm〜1cm以上まで |
| 部位 |
顔、首、体幹、手足、頭皮など全身 |
たいてい問題ありませんが、中には悪性黒色腫という癌が紛れ込んでいますので、区別が重要です。皮膚科専門医が区別にもっともたけていますので皮膚科で見てもらうといいでしょう。当院では2016年まで基幹病院に勤務し、悪性黒色腫の診断から手術、抗がん剤(オプジーボ、ベムラフェニブ)を使った治療の経験を生かして診療に当たります。ダーマスコピーという拡大鏡を使って分析します。手術希望の方は手術を行います。
こんな「ほくろ」は早めに受診してください(要注意サイン)
次のような変化がある場合は、早めの皮膚科受診をおすすめします。特に「以前と違う」と感じる変化は重要です。
ABCDEチェック(メラノーマを疑うサインとして有名)
| 項目 |
意味 |
チェックポイント |
| A |
Asymmetry(左右非対称) |
形がいびつ、左右でバランスが悪い |
| B |
Border(境界不整) |
ふちがギザギザ、にじむ、ぼやける |
| C |
Color(色むら) |
黒一色でなく、茶・黒・灰色・赤みなどが混在 |
| D |
Diameter(大きさ) |
一般に6mm以上は注意(小さくても要注意なものはあります) |
| E |
Evolution(変化) |
大きくなる、色・形が変わる、出血、かゆみ、痛み |
そのほかの要注意症状
ここ数か月で急に大きくなった
出血する、かさぶたを繰り返す
かゆみ・痛みが続く
周囲に赤みが出る
爪の黒い線、足裏の黒いしみ、手のひらの色素斑(部位によっては特に注意)
「昔からあると思っていたが、よく見ると変わってきた」
皮膚科での診察では何をするの?
1
1)まずは見た目・経過を確認することがあります
いつからあるか
変化があるか(大きさ・色・形)
痛み・かゆみ・出血の有無
2
2)ダーマスコピー(拡大鏡)で観察することがあります
ダーマスコピーは、肉眼では見えにくい構造(色素の分布、血管、境界など)を確認できる診察ツールです。 「経過観察でよいのか」「切除して検査すべきか」を判断するうえで非常に有用です。
3
3)必要時は切除(病理検査)
見た目だけで100%の確定が難しい場合、または悪性が疑われる場合は、切除して病理検査を行います。 これにより、良性か悪性か、どの種類かをより正確に診断できます。
ほくろの治療方針(結論)
手術は保険適応。通常は紡錘系に切除する日帰り手術です。直線上の傷跡が残りにくい方法もあります。くりぬいて穴が開き、1ヶ月程度塗り薬を塗って平坦化させる方法です。少しにきびあとのような凹みが残る場合もあります。1年くらいで赤みが続き、目立たなくなります。1-2ヶ月程度で傷が治ったあとはお化粧で隠すこともできます。手術のメリットは1度で治り、再発がほとんどないことです。また、わかりにくい癌も診断がつくことです。
ほくろ治療は、「見た目をきれいにしたい」という美容的な希望と、「悪性の可能性を見逃さない」という医学的な視点の両方が大切です。 そのため、皮膚科専門医の立場では、次の順で考えます。
↓
↓
3
良性と判断できる場合に、部位・大きさ・形状・ご希望に応じて
経過観察 / 手術 / レーザーを選択
治療法の比較表
ほくろ治療の選択肢を、診断面・傷あと・再発リスクなどの観点から比較します。
| 治療法 |
主な対象 |
メリット |
デメリット・注意点 |
向いている方 |
| 経過観察 |
良性所見で変化がないもの |
傷がつかない、負担が少ない |
変化が出たら再診が必要 |
「まず安全確認したい」「急いで除去しなくてよい」 |
| 手術(切除) |
隆起したほくろ、診断を確定したいもの、悪性が疑わしいもの |
再発が少ない、病理検査ができる、確実性が高い |
傷あとが残る可能性 |
確実性重視、診断も兼ねたい方 |
ルビーレーザー
(適応を選ぶ) |
小さく平坦な良性ほくろ(美容目的) |
切開を避けられる |
再発の可能性、全てを病理検査できない。自費 |
「傷を最小限にしたい」希望がある方 |
重要:レーザーを希望される場合でも、まずは「本当に良性かどうか」の診断が最優先です。 見た目が似ていても、ほくろではない病変や皮膚がんの可能性があるため、自己判断での処置は避けてください。
3割負担の方で、2cm未満の手術は1個あたり約1万円が目安です。
※診察料・処方料・病理検査料などが別途かかる場合があります。部位や大きさ、処置内容によって費用は前後しますので、詳しくは診察時にご説明します。
治療(レーザー)
ごく小さく平坦なほくろは、Qスイッチルビーレーザーで自費診療で治療することもありますが、再発することがあります。手術の傷跡を望まない人が再発も覚悟で選択する場合もあります。写真真ん中の少し白いところがほくろにレーザーを当てたあとで消えています。悪性黒色腫の議論もあるので、確実なのは手術です。
炭酸ガスレーザーによる完全焼灼は当院では行っておらず、同等の治療は手術で行います。
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ルビーレーザー
- 治療内容
- 治療部位を冷却し、シミにルビーレーザーを照射します。10日程度でシミが取れます。一時的に淡い赤みとなり1ヶ月程度で赤みは目立たなくなります。半分弱のかたは2-6ヶ月程度一時的に褐色となり次第に褐色も目立たなくなって終了です。
- リスク、副作用
- まれですが、以下のことが起こる可能性があります。 瘢痕、ケロイド、炎症後色素脱失、発赤、水疱、腫脹、テープかぶれ、湿疹。肝斑の悪化(診察でチェックします)
- 費用
- 5mmごとに5500円 税込
- 期間 回数
- 数回かかる場合、消えない場合も考えられます。レーザー10日後、その後1ヶ月半後に受診があります。はじめは一部を試し打ちし、数ヶ月たって問題ないことを確認した上で残りの治療を行います。7-9月は紫外線があるため、行っておりません。