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うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎|北九州市八幡西区学研都市ひびきの、本城学研台の皮膚科専門医による皮膚科、アレルギー科。

うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎
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💡 この記事のポイント

うっ滞性皮膚炎について

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原因と症状

足の静脈の血流が滞る(うっ滞する)ことで、すねから足首にかけて赤み、強いかゆみ、茶色い色素沈着、慢性的なむくみが生じる皮膚炎です。進行すると潰瘍(皮膚の穴)になることもあります。
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治療の基本

ステロイド外用薬で皮膚の炎症を抑えるとともに、弾性ストッキング等による「圧迫療法」で足の血流(静脈還流)を改善することが根本的な治療の鍵となります。
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当院の対応

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として的確な診断・治療を行い、下肢静脈瘤などの基礎疾患が重度な場合は、北九州市内の大きい病院(血管外科等)へご紹介いたします。

 

ひびきの皮ふ科 

うっ滞性皮膚炎

1. うっ滞性皮膚炎とは?(皮膚科専門医の視点から)

うっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)は、主に下腿(膝から下のすねやふくらはぎ、特に足首付近)の静脈の血流が悪くなり、血液が足に溜まる(うっ滞する)ことによって引き起こされる湿疹・皮膚炎です。

人間の足の静脈には、血液が重力に逆らって心臓へ戻るための「逆流防止弁」が備わっています。しかし、加齢や長時間の立ち仕事などによってこの弁が壊れたり、静脈の圧力が高まったりすると、血液の成分(赤血球やタンパク質)が血管の外(皮膚の組織)に漏れ出します。これが皮膚に慢性的な炎症を引き起こし、強いかゆみや色素沈着をもたらすのです。単なる「足の湿疹」や「乾燥肌」と誤認されやすい疾患ですが、血流障害という根本的な原因にアプローチしない限り、再発を繰り返すのが特徴です。しかし、手術適応にならず、何年も繰り返す人も多いです。

2. うっ滞性皮膚炎の進行と症状の変化

うっ滞性皮膚炎は、放置すると徐々に進行し、治療が難しくなります。皮膚科専門医としては、早期発見・早期治療を強く推奨しています。
初期
主な自覚症状・皮膚の状態
夕方になると足がむくむ、だるい、足首付近の軽いかゆみと赤み
専門医の所見
軽度の浮腫、点状出血(赤いポツポツ)、軽微な紅斑
進行期
主な自覚症状・皮膚の状態
強いかゆみ、皮膚がカサカサしてフケのように剥がれる、茶褐色のシミができる。ひどい人は蜂窩織炎そっくりになり(うっ滞性脂肪織炎)、潰瘍(うっ滞性皮膚潰瘍)になる人もいます。
専門医の所見
湿疹化、ヘモジデリン沈着(赤血球由来の鉄分による色素沈着)、掻破痕
重症期
主な自覚症状・皮膚の状態
皮膚が硬くゴワゴワになる、ジュクジュクして痛みを伴う、皮膚に穴が開く
専門医の所見
硬化性脂肪織炎、びらん、下腿潰瘍(難治性)、二次感染の合併
• 好発部位: くるぶしの内側からすねの下1/3にかけて最もよく見られます。

3. なぜ起こるのか?(主な原因とリスクファクター)

うっ滞性皮膚炎の根本的な原因は「下肢の静脈還流障害」です。以下のような要因が複雑に絡み合って発症します。
• 下肢静脈瘤: 足の血管がボコボコと浮き出る疾患。最も多い原因の一つです。
• 深部静脈血栓症の既往: 過去に足の深い静脈に血栓(血の塊)ができたことがある方。
• 長時間の立位・座位: ふくらはぎの筋肉(筋ポンプ作用)を使わない状態が長く続くこと。
• 加齢と肥満: 血管の弾力低下や、腹圧の上昇による静脈の圧迫。

4. ひびきの皮ふ科における治療ステップ

当院では、皮膚の炎症を鎮める「対症療法」と、血流を改善する「原因療法」を並行して行います。

【うっ滞性皮膚炎の治療ステップ】

▼ ステップ1:徹底したスキンケア(保湿)と皮膚の保護
乾燥はバリア機能を低下させ、かゆみを増悪させます。
▼ ステップ2:外用薬による炎症の鎮静(対症療法)
ステロイド外用薬を用いて、赤み・かゆみ・ジュクジュクを抑えます。
▼ ステップ3:圧迫療法による血流改善(原因療法)★最重要
弾性ストッキングや弾性包帯で外から適度な圧力をかけ、静脈の血流を心臓へ押し戻します。
▼ ステップ4:難治例・重症例への外科的アプローチ(専門医連携)
下肢静脈瘤が重度の場合や難治性潰瘍を伴う場合は、北九州市内の大きい病院(血管外科)をご紹介し、手術を検討します。

処方される主な治療薬・アイテムの比較表

ステロイド外用薬
目的・効果
皮膚の炎症、赤み、強いかゆみを強力に抑える
代表的な処方薬・アイテムの例
アンテベート、クロベタゾール等(症状に応じた強さを選択)
使用上の注意点・専門医のアドバイス
症状が治まってきたら徐々に減薬・休薬します。自己判断での長期連用や中止は避けてください。
保湿剤
目的・効果
皮膚のバリア機能を回復させ、乾燥によるかゆみを防ぐ
代表的な処方薬・アイテムの例
ヘパリン類似物質(ヒルドイド等)、ワセリン、尿素製剤
使用上の注意点・専門医のアドバイス
入浴後10分以内の塗布が効果的です。すり込まずに優しくたっぷりと乗せるように塗ります。
潰瘍治療薬
目的・効果
潰瘍(皮膚の穴)の組織修復を促し、感染を防ぐ
代表的な処方薬・アイテムの例
プロスタンディン軟膏、ゲーベンクリーム等
使用上の注意点・専門医のアドバイス
潰瘍の状態(壊死組織の有無、滲出液の量)によって使用する外用薬をこまめに変更する必要があります。
弾性ストッキング・包帯
目的・効果
足に適度な圧をかけ、静脈の血液の逆流を防ぐ、むくみ改善
代表的な処方薬・アイテムの例
医療用弾性ストッキング、弾性包帯
使用上の注意点・専門医のアドバイス
治療の要です。寝る前にはずし、 朝、起き上がる前に着用するのが最も効果的です

5. 日常生活の注意点と、北九州市ならではのアドバイス

うっ滞性皮膚炎の改善には、ご自宅でのセルフケアが欠かせません。当院がある北九州市の地域特性も踏まえ、実践的なアドバイスをお伝えします。

📌 日常生活の基本ケア

1. 足を高くして休む: 寝る時や休息時は、クッションなどを使って足を心臓より20cmほど高く保つと、むくみが取れやすくなります。
2. ふくらはぎを動かす(筋ポンプ作用): 足首をパタパタと動かす体操や、短時間でのウォーキングが静脈の血流を促します。
3. 長時間の立ちっぱなし・座りっぱなし、長時間歩くことを避ける: 1時間に1回は足踏みをするなど、姿勢を変えましょう。

🏭 北九州市にお住まいの方へ:地域特性に合わせたアドバイス

• 産業都市・北九州で働く方へ
当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)はものづくり産業や物流拠点が多く、工場でのライン作業や立ち仕事に従事されている方が多数いらっしゃいます。長時間の立位はうっ滞性皮膚炎の最大のリスクです。お仕事中はこまめな足首のストレッチを取り入れ、可能であれば就業中も医療用の弾性ハイソックスを着用することをおすすめします。
• 冬の乾燥対策(響灘の寒風)
冬場は響灘方面からの冷たく乾燥した北風が吹き込みます。うっ滞性皮膚炎のかゆみを急激に悪化させます。冬場乾燥する場合は病院での「ヘパリン類似物質」や「ワセリン」による徹底した保湿を心がけてください。
• 起伏の多い地形を利用した運動(八幡・若松エリアなど)
北九州市は坂道が多い地形(八幡西区や若松区の一部など)が特徴です。長時間のウォーキングは悪化する可能性があります。

6. よくあるご質問(Q&A )

Q1. 足が茶色くなってしまいましたが、元の肌色に戻りますか?
A. 茶色い色素沈着は赤血球から漏れ出た「鉄分(ヘモジデリン)」によるものです。炎症が治まれば数ヶ月から数年単位で少しずつ薄くなりますが、完全に元の色に戻すのは難しい場合があります。これ以上濃くしないためにも早期の炎症コントロールと圧迫療法が重要です。
Q2. 市販のかゆみ止めを塗っても治りません。
A. 市販のかゆみ止めでは、静脈の血流うっ滞という「根本原因」や、深部の強い炎症に対処できません。かきむしってバイ菌が入り(蜂窩織炎など)、重症化する前に早めに皮膚科専門医をご受診ください。
Q3. 弾性ストッキングは市販の「着圧ソックス」でも代用できますか?
A. 美容目的の市販着圧ソックスは、医療用に比べて圧迫力が弱く、また足首からふくらはぎにかけての段階的な圧の設計が不十分なことが多いです。
Q4. 弾性ストッキングは寝る時も履いたままの方が良いですか?
A. 基本的には「起きている間(活動している間)」に着用し、就寝時は脱いでいただきます。寝ている間は強い圧迫は必要ありません。
Q5. ステロイドの塗り薬は副作用が怖いのですが…。
A. うっ滞性皮膚炎の激しい炎症を鎮めるには、適切な強さのステロイド外用薬が不可欠です。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の指示通りに「必要な部位に、必要な期間、必要な量を」使用すれば、全身への副作用を心配する必要はほとんどありません。だらだらと自己判断で塗り続けることが問題となります。
Q6. 足から浸出液(ジュクジュクした汁)が出て止まりません。
A. むくみが限界を超え、皮膚のバリアが破綻している状態です。放置すると潰瘍(皮膚の穴)になることもあります。速やかに受診し、強めの外用薬による治療と、医療機関での専門的な処置(ガーゼや吸収パッドでの保護、圧迫)が必要なことがあります。
Q7. 運動はしたほうが良いですか?
A. はい、長時間ではないふくらはぎの筋肉を使う運動(ウォーキング、足首の曲げ伸ばし、青竹踏みなど)は、静脈の血流を良くするため推奨されることがあります。ただし、激しい湿疹や潰瘍、痛みがある急性期は安静が必要なことがあります。
Q8. お風呂は入っても良いですか?
A. 入浴は皮膚を清潔に保つために推奨されます。ただし、熱すぎるお湯や長時間の入浴はかゆみを増幅させます。ぬるめのお湯(38〜40℃)にし、ナイロンタオルでゴシゴシ洗わず、たっぷりの泡で優しく手洗いしてください。
Q9. 治療にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 軽度の湿疹であれば数週間で落ち着きますが、原因が静脈の機能不全であるため、良くなったり悪くなったりを繰り返し、何年にもわたる慢性の経過をたどります。「完治」というよりは、「圧迫療法や皮膚科でのスキンケアを継続して、良い状態を維持する(コントロールする)」という長期的な視点での付き合い方になります。
Q10. 手術が必要になることはありますか?
A. 繰り返す難治性の潰瘍がある場合や、下肢静脈瘤が原因で皮膚炎が悪化している場合は、静脈瘤の根治手術を行うことで劇的に皮膚炎が改善することがあります。当院で診察し、手術の適応がある可能性があると判断した場合は、信頼できる大きい病院(血管外科等)へご紹介いたします。
足の治らない赤み、茶色いシミでお悩みの方は、決して放置せず、お気軽に「ひびきの皮ふ科」までご相談ください。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年4月3日

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