とびひ
とびひ

とびひ 伝染性膿痂疹
(鼻を触って、周りに広がることもあり、この例では、鼻にびらんがあります。)

とびひ 伝染性膿痂疹
(皮がむけてじゅくじゅくになっています。はしっこの皮がむけています。痛みがあります)

とびひ 伝染性膿痂疹
(皮がむけてじゅくじゅくになっています。はしっこの皮がむけています。痛みがあります)
概要
「とびひ」は、正式には伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と呼ばれる細菌による皮膚の感染症です。
虫刺され、あせも、湿疹などを掻き壊した小さな傷口に細菌が感染し、水ぶくれやただれを作ります。そこから浸出液(汁)が出たり、かさぶたになったりし、その手で別の場所を触ることで、火事の火の粉が飛び散るように次々と症状が広がることから「とびひ」と呼ばれています。
特に乳幼児〜小学生のお子様に多く見られますが、大人でも感染することがあります。
当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)では、海と山に囲まれた自然豊かな環境である一方、夏場は非常に高温多湿になりやすい気候特性があります。
響灘グリーンパークや平尾台などでのアウトドアレジャー、海遊びなどで虫刺されを経験するお子様も多く、また蒸し暑さによるあせもの発症も少なくありません。
さらに、春先には黄砂やPM2.5の飛来、スギ・ヒノキ花粉の影響で皮膚のバリア機能が低下し、湿疹になる方も多くいらっしゃいます。
こうした「皮膚のバリア機能の低下」と「高温多湿による細菌の繁殖」が重なることで、北九州地域ではとびひが急速に悪化しやすい環境が整いがちです。ひびきの皮ふ科では、地域の環境やライフスタイルに合わせたきめ細やかな治療を行っています。
とびひは、原因となる細菌の違いにより大きく2つの種類に分けられます。
| 種類 | 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん) | 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん) |
|---|---|---|
| 原因菌 | 黄色ブドウ球菌など | 化膿レンサ球菌等(まれに黄色ブドウ球菌も) |
| 発症しやすい季節 | 主に夏(高温多湿の時期) | 主に夏(高温多湿の時期) |
| かかりやすい年齢 | 7歳未満の乳幼児・小児に多いが成人も。 | 年齢問わず(大人にも多い) |
| 主な症状 | 米粒〜小豆大の水ぶくれができ、すぐに破れてジュクジュクに。強いかゆみを伴う。 | 赤く腫れて膿を持ち、厚いかさぶた(痂皮)ができる。発熱やリンパ節の腫れを伴うこともある。 |
| 特徴 | とびひの大多数を占める。 | かさぶたが目立つがジュクジュクもある |
とびひは、健康な皮膚に突然発症するだけではありません。以下のような要因で皮膚のバリア機能が壊れたところに細菌が入り込むことでも発症します。
とびひの治療の基本は、原因菌を退治する抗菌薬(抗生物質)の内服と外用です。
近年は市販薬や以前処方された抗生物質が効かない「耐性菌」が増加しているため、専門医による適切な薬剤選択が不可欠です。
症状の広がり、種類を確認します。必要に応じて、細菌の培養検査を行い、原因菌と有効な抗生物質を特定します(耐性菌のチェック)。
症状に合わせて、最適な抗菌薬を処方します。かゆみが強い場合は抗アレルギー薬(かゆみ止め)の内服も併用します。
お薬がしっかり効いているか確認します。6割程度のかたでは、数日〜1週間程度でかさぶたになり治癒へ向かいます。
| 種類 | 薬の役割・特徴 | 代表的なお薬(例) |
|---|---|---|
| 外用薬(塗り薬) | 患部の細菌の増殖を抑える。ジュクジュクしている場合は軟膏ベースのものを使用することが多いです。 | ゼビアックス、アクアチム軟膏、フシジンレオ軟膏、など |
| 内服薬(飲み薬) | 体の内側から細菌を退治する。全身に広がっている場合や治りにくい場合に必須となります。 | ケフラール、フロモックス、セフゾン、メイアクト、ファロムなど(セフェム系・ペネム系など) |
| かゆみ止め(内服) | 掻き壊しによる悪化を防ぐため、かゆみが強い場合に処方します。 | ロラタジン、エピナスチン、レボセチリジン、ビラノア、ジルテックなど |
※ステロイド外用薬は、細菌の増殖を助長する恐れがあるため、通常はとびひの部位には使用しません(湿疹が混在している場合など、皮膚科専門医の判断で慎重に併用しないと治らないことはあります)。
お薬の治療ほどではありませんが、ご家庭でのケアも治癒のスピードを左右します。
A. 必ずしも休む必要はありません。ただし、患部をガーゼや包帯、服でしっかり覆い、浸出液(汁)が直接他の人に触れてうつらないように処置できていることが大切となります。広範囲に広がっている場合やはお休みを検討します。
A. シャワーで清潔にすることは非常に重要ですが、湯船(浴槽)に浸かるのは治るまで避けてください。浴槽の水にはバイ菌がいることがあるためです。周囲を石鹸の泡で優しく洗い、シャワーで流すだけにしましょう。
A. プールの水で直接うつるわけではありませんが、肌が触れ合うことで感染が広がるため、とびひが完全に治る(かさぶたが乾燥して落ちる)まではプールはお休みしてください。ビート板やタオルの貸し借りでもうつります。
A. 患者様は入浴を一番最後にし、シャワーのみにしてください。タオルの共有は厳禁です。
A. とびひは細菌感染症のため、病院の処方薬(特に抗生物質の内服)が必要です。そもそも皮膚の病気は1000以上あり、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医でなければ、他の皮膚の病気と区別ができません。皮膚科専門医の受診が必要です。市販の殺菌消毒薬やステロイド剤を自己判断で塗ると、かえって悪化することが多いため、早めに皮膚科をご受診ください。
A. はい、大人でもかかります。大人の場合は「痂皮性膿痂疹」というタイプになることもあり、基礎疾患や免疫低下がある場合は注意が必要です。
A. 一般的な絆創膏は滲出液の吸収力が低く、中で細菌が繁殖してとびひが悪化・拡大する原因になることもあります。滲出液があるときはガーゼをしてその上から巨大な絆創膏(4×4cmなども市販されています。)をするなど検討してください。それでもうまくいかないことがあります。お薬を塗った後は、通気性の良いガーゼをテープで留めるようにしてください。はずれそうなら包帯も追加を検討してください
A. 適切な治療を早期に行えば、ほとんどの場合はきれいに治ります。ただし、深く掻き壊してしまったり、治療が遅れて重症化したりすると、瘢痕が残る場合があります。炎症後色素沈着(シミのような跡)が起きた場合は数日-2年で消えることが多いです。
A. 抗生物質が適切に効けば、6割くらいのかたは、3日〜1週間程度でジュクジュクが乾燥しかさぶたになり、治癒に向かいます。お薬は症状が良くなったからといって自己判断でやめず、医師の指示通り使い切ることが大切です。
A. 原因となる「虫刺され」「あせも」「アトピー性皮膚炎」などのベースとなる皮膚トラブルがコントロールできていない可能性があります。しかし、何の異常もないのに繰り返すかたのほうが多いです。菌の強毒性によるもの、家族内に保菌者がいる可能性があります。また、鼻の中に原因菌を保菌している場合も繰り返しやすいです。繰り返す場合はその都度治療を行います。家族4人が5回とびひを繰り返すということもまれにはあります。
とびひは「あっという間に広がる」のが特徴ですが、皮膚科専門医での適切な治療でスムーズに改善します。肌に怪しい水ぶくれやただれを見つけたら、悪化する前に北九州市八幡西区ひびきのの「ひびきの皮ふ科」へお気軽にご相談ください。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年2月23日