日焼け
日焼け治療について
• 日焼けには、赤く炎症を起こす「サンバーン」と、黒く色素沈着する「サンタン」があり、重症化すると水ぶくれや痛みを伴う「やけど」と同じ状態になります。
• 当院では日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の視点から、症状の進行度に応じた炎症を止めるぬり薬や内服薬を用いた適切な抗炎症治療を行い、将来のシミのリスクを軽減します。
• 海や山に恵まれ、紫外線量が多い北九州エリアにお住まいの方は、日常的な紫外線対策と、赤みや痛みが出た際の早期受診が非常に重要です。
日焼けは紫外線を浴びすぎて起きるやけどです。軽度では赤み、痛みが起きますが、中等度では水ぶくれができ、それが破れてびらんになったりすることもあります。
日焼け止めや、帽子で予防しましょう。また、10時から2時までが紫外線の強い時間帯ですので、それも考慮するとよいでしょう。 日焼けが起こった後は、皮膚科で炎症をとる塗り薬で治療するとよいでしょう。
日焼け治療
1. はじめに:北九州エリアにおける日焼けのリスク
響灘の美しい海岸線や、緑豊かな山々に囲まれた当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)は、アウトドアやレジャーを楽しむのに最適な環境です。しかし、海風による乾燥や、夏場の強い日差しは、肌にとって大きな負担となります。
「たかが日焼け」と放置せず、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医による適切なケアを受けることが、
健やかな肌を保つ第一歩です。ひびきの皮ふ科では、地域にお住まいの皆様の肌質や生活環境に合わせた日焼け治療とスキンケア指導を行っています。
2. 紫外線について
日焼け(紫外線障害)は、太陽光に含まれる紫外線を過剰に浴びることで引き起こされます。紫外線には主にUVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)があります。
| 紫外線の種類 |
波長 |
特徴と影響 |
| UVB (紫外線B波) |
290-320nm |
老化、皮膚がんの原因にもなります。一部は光治療に使われる波長もあります。 |
| UVA (紫外線A波) |
320-400nm |
窓ガラスを透過。光治療に使われることもあります。 |
夏の正午は冬の正午の5倍程度の紫外線があり、かなり多くなります。紫外線は7月8月が最大になります。
正午が最も紫外線が多く、11時から1時までで1日の紫外線の60%を浴びることになります。
日焼けの強さは紫外線の総量によりますので、弱い紫外線で長時間浴びても、強い紫外線で短時間浴びても総量が同じならおなじ日焼けになります。日焼け止めが面倒くさい人は、紫外線の弱い時間帯に行動するのも有用です。
3. 日焼けの症状と重症度
日焼けは、医学的には「日光皮膚炎」と呼ばれる立派なやけど(熱傷)の一種です。症状は紫外線を浴びてから数時間後に現れ始め、24時間後にピークを迎えます。
紫外線UVBは皮膚の細胞の遺伝子(ds-DNAにピリミジン二量体の形成)に作用して炎症が起きます。そして血管が広がって赤くなったり、炎症の結果、皮膚の細胞から化学物質が放出されて12時間後に熱が出たり、気分が悪くなったりします。
軽度(I度熱傷レベル)
皮膚が赤くなり(紅斑)、ヒリヒリとした軽い痛みや熱感を伴います。数日で皮がむけ、色素沈着(黒ずみ)を残して治癒に向かいます。
中等度(浅達性II度熱傷レベル)
強い赤みと腫れ、激しい痛みが現れ、水ぶくれ(水疱)が形成されます。水ぶくれが破れると感染のリスクが高まります。
重度
広範囲に水ぶくれができ、悪寒、発熱、頭痛、吐き気などの全身症状(日射病・熱中症)を伴う場合があります。全身症状は当院では治療できませんので、大きい病院や、外科のほうがよろしいです。ときに色が白くなって残ることがあります。
4. ひびきの皮ふ科における治療ステップ
当院では、炎症をいち早く鎮め、将来的なシミや肌トラブルを防ぐための段階的な治療を行っています。
Step 1
初期評価
炎症の程度、水疱の有無、範囲を皮膚科専門医が正確に診断します。
▼
Step 2
積極的な抗炎症治療(外用・内服)
症状に合わせて、適切な強さのステロイド外用薬を処方。
痛みが強い場合は消炎鎮痛剤を内服。
▼
Step 3
バリア機能の修復と保湿
炎症が落ち着いた後、乾燥して剥がれ落ちる皮膚を保護するため、乾燥する場合は
医療用保湿剤(ヘパリン類似物質など)でバリア機能を回復させます。
▼
Step 4
色素沈着の対応
炎症後色素沈着がある場合は、メラニン生成を抑えるシナールの内服を提案。
5. 日焼け治療薬の比較表
症状が強い場合は専門的な処方薬が不可欠です。
| 薬剤の種類 |
代表的な成分・薬剤名 |
作用と目的 |
皮膚科での使用ポイント |
| ステロイド外用薬 |
ロコイド、アンテベート等 |
強力な抗炎症作用で赤み・腫れを鎮める |
症状の強さや部位(顔か体か)に応じて、専門医が適切なランク(強さ)を選択します。 |
| 非ステロイド性消炎外用薬 |
スタデルムなど |
軽い炎症の鎮静、皮膚の保護 |
かぶれやすいので現在ではあまり使いません。 |
| 保湿剤 |
ヒルドイド、ワセリン等 |
バリア機能修復、乾燥予防 |
炎症が引いた後の皮むけ期などに、乾燥する場合。す。 |
| 内服薬 |
ロキソプロフェン、抗ヒスタミン薬 |
痛みの軽減、かゆみの抑制 |
眠れないほどの痛みや、治りかけの強いかゆみに対して処方し、生活の質(QOL)を保ちます。 |
6. ご家庭での対処法と日常生活の注意点
もし日焼けをしてしまったら、まずはご自宅で以下の「初期対応」を行ってください。
1
とにかく冷やす(最重要):冷水や氷水で濡らしたタオル、保冷剤(タオルで包む)などで、火照りが治まるまでしっかり冷やしてください。女性の場合は冷蔵庫で冷やした化粧水や乳液で冷やす手もあります。化粧コットンにたっぷりめにひたし、パックのようにしばらく当てておくのもいいかもしれません。

2
水分補給:熱中症の場合は、体全体が脱水状態になっているため、こまめに水やスポーツドリンクを飲みましょう。

3
水ぶくれは絶対に潰さない:雑菌が入り、とびひ(伝染性膿痂疹)などの二次感染や、深い跡が残る原因になります。

【北九州市ならではのアドバイス】 北九州市は車社会であるため、運転中の「右腕・右顔だけの日焼け(窓ガラス越しの日焼け)」に悩まされる方が多くいらっしゃいます。UVAは車の窓ガラスも通過するため、UVカットフィルムの活用や、運転時のアームカバー、そして日常的な日焼け止めの使用が不可欠です。また、夏の芦屋海岸や脇田海岸などでレジャーを楽しむ際は、ウォータープルーフの日焼け止めを「2〜3時間おき」に塗り直すことを習慣にしてください。

紫外線の強いときは、長袖、ぼうし、日焼け止めで紫外線を遮りましょう。
日焼けのあとの10日間は抵抗力が落ちて、感染症にもかかりやすいので注意します。
光老化の対策
生活習慣病です。幼児期からの日焼け対策で顔、手の甲などの光老化を著しく遅らせることができます。無駄な日焼けを避けましょう。日焼け止めが有効です。SPF50以上の製品なら少し薄く塗っても日焼けしにくいです。日陰を利用しましょう。
7. 日焼けに関するQ&A
Q1. どのくらい日焼けしたら皮膚科を受診すべきですか?
A1. 水ぶくれができている、痛みが強くて眠れない、範囲が広い場合は、すぐに受診してください。赤みやヒリヒリ感が数日引かない場合もご相談ください。
Q2. 市販の冷却ジェルやアロエ成分のクリームは効きますか?
A2. 軽度の火照りには心地よいですが、成分によっては炎症を起こした肌に刺激となり、かぶれ(接触皮膚炎)を起こすことがあります。皮膚科で処方される抗炎症薬が必要です。
Q3. 皮がむけてきたら、手で剥いてもいいですか?
A3. 絶対に無理に剥がさないでください。下の新しい皮膚が未熟な状態で露出すると、キズになっている状態です。色素沈着の原因になります。自然に剥がれ落ちるのを待ち、保湿を心がけましょう。
Q4. 日焼け止めはSPFが高ければ高いほど良いのですか?
A4. 数値が高いほど防御効果は強いです。日常生活ならSPF20〜30/PA++程度、海や山などの炎天下でのレジャーならSPF50+/PA++++と、シーンに合わせて使い分けるのがおすすめです。
Q5. 子供の日焼けも皮膚科で診てもらえますか?
A5. もちろんです。子どもの皮膚は大人よりも厚さがうすく、紫外線の影響をより受ける可能性もあります。水疱が破れるとびらんになったり、とびひになったりすることもあるので、子供の重度の日焼けは早めの治療が重要です。ひびきの皮ふ科には赤ちゃんから、数多くのお子さんが来られています。
Q6. 日焼け後のシミを防ぐにはどうすればいいですか?
A6. 皮膚科専門医からの観点を受診し、炎症をできるだけ早く抑えることが第一です。その後、ビタミンCの内服、ご希望の方は美白外用薬を使用することで、色素沈着を最小限に抑えることが可能です。
Q7. 曇りの日でも日焼けしますか?
A7. はい、します。UVAは雲を透過するため、曇りの日でも晴天時の約60%〜80%の紫外線が地上に届いています。天候に関わらず紫外線対策は必要です。
Q8. 唇も日焼けしますか?
A8. 唇にはメラニン色素を生成する細胞が少なく、角層も薄いため、実は非常に日焼けしやすい部位です。UVカット効果のあるリップクリームを使用してください。
Q9. 日焼け後のお風呂で気をつけることはありますか?
A9. 熱いお湯は避け、ぬるめのシャワーにしてください。石鹸でゴシゴシ洗うと皮膚のバリアを破壊してしまうため、たっぷりの泡で優しく撫でるように洗いましょう。
Q10. 日光アレルギー(光線過敏症)とは違いますか?
A10. 通常の日焼けとは異なり、わずかな紫外線でも強い赤み、ブツブツ(湿疹)、かゆみが出る場合は、光線過敏症の疑いがあります。薬の副作用や自己免疫疾患が隠れていることもあるため、詳しい検査が必要です。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年3月22日