いぼ(脂漏性角化症)

老人性いぼ(脂漏性角化症) 少し盛り上がり、わずかに色調不均一

老人性いぼ(脂漏性角化症)の写真 盛り上がったボタンのよう

老人性いぼ(脂漏性角化症)の写真
掲載同意済

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脂漏性角化症とは?
脂漏性角化症は、皮膚に発生する良性の腫瘍であり、年齢と共に増加することが多いです。俗に「老人性いぼ」とも呼ばれますが、これは誤解を招くことがあり、20代やそれ以下の年齢でも見られることがあります。
特徴と症状
- 外観と感触:
- 色:黒色や褐色、赤色など様々な色調。
- 形状:平らなものから、ドーム状、腫瘤状、ボタン状に隆起したものまで様々です。黒い粘土をベタベタと貼り付けたようなものもあります。
- 大きさ:数ミリから4cm以上になることもあります。多くは数mm大から、1cm大です。
- 感触:ざらざらした表面を持つことが多いです。
- 発生部位:
- 顔、胸、背中、お腹、手足、頭など、体のどこにでも発生します。
- 症状:
- 通常は無症状ですが、時にはかゆみや炎症を伴うことがあります。
- 赤くなる場合もあり、その際には根本的に取る必要があります。対症療法で炎症を取る塗り薬を処方することもあります。

年齢によるイボ、脂漏性角化症が背部に多発しています。多発することも単発のこともあります。
鑑別診断の重要性
脂漏性角化症は、見た目が似ているため、悪性腫瘍と区別することが重要です。以下のような皮膚癌と鑑別する必要があります。手術、抗癌剤など経験のある皮膚科専門医でなければ区別ができません。皮膚科専門医ですら診断が難しい症例もときにはあります。
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 基底細胞癌
- 有棘細胞癌
- 無色素性悪性黒色腫 ほくろの癌なのに赤い腫瘍
- 皮膚付属器癌(汗腺や、脂腺などの癌)
診断方法
- 視診:
- 皮膚科専門医が視診で診断を行います。(消化器内科医が内視鏡で早期胃癌を区別するような高度が技術が必要です。)
- ダーモスコピー:
- ダーモスコピーを使用して皮膚病変を拡大観察し、特徴的なパターンを確認します。
- 皮膚生検:
- 疑わしい場合や診断が難しい場合は、皮膚生検を行い顕微鏡検査で細胞レベルまで詳細を確認します。
治療方法
- 液体窒素療法(凍結療法):
- -196度の液体窒素で病変を凍結し除去します。
- 小さなもの(3mm程度)は、通常3回程度の通院で治療可能です。(当然人によって異なりしてみないとわかりませんが目安として、早いと、1回、長いと6回程度です。)。
- 大きなもの(1cm以上)は、治療回数が増えることがあります。
- これらはあくまで目安であり、実際には個人差が大きいです。
- 4歳の子供でも受けていますので、その程度の痛みはあります。
- その他の治療法:
- 切除術は保険適応です。しかし、合併症を考えると通常は凍結することが多いです。レーザー治療なども選択肢ですが、自費診療になり保険は使えないので、かなり高額になります。そのため当院ではいぼのレーザーは行っておりません。
治療後のケア
- 経過観察:
- 治療後も定期的に皮膚の状態を観察し、再発や新たな病変がでたら、皮膚科専門医を受診してください。
- 生活習慣の見直し:
- 日焼け止めを使用するなど、日光から皮膚を守ることが重要です。
茶色で少し盛り上がっています。地図状の形や丸、楕円形などの形があります。色は均一です。
- 日焼け止めを使用するなど、日光から皮膚を守ることが重要です。
費用と保険適用
- 保険適用されるため、患者負担は3割負担で3カ所以下の場合1回630円、4個以上の場合1回810円です。1割負担であれば、3カ所以下の場合1回210円、4個以上の場合1回270円です。
注意事項
- 自己診断の危険性:
- 自己診断は避け、必ず日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の診察を受けることが重要です。
- 早期受診の重要性:
- 早期に皮膚科専門医を受診することで、適切な治療を受け、悪性腫瘍との鑑別をすることが大切です。
- 悪性腫瘍であれば、命に関わる場合があるためです。
脂漏性角化症は、見た目の変化が気になることが多いですが、適切な診断と治療を受けることで安全に対処できます。皮膚に気になる変化が見られた場合は、早めに皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。