いぼ(脂漏性角化症)
・脂漏性角化症(老人性いぼ)は多くが「良性」のできものですが、見た目が似た皮膚がんもあるため自己判断は危険です。
・治療は主に保険の液体窒素(凍結療法)が中心で、部位や大きさにより切除・生検などを検討します。
・北九州(八幡西区・若松区・中間市・遠賀町・岡垣町・芦屋町、水巻町など)では、紫外線や季節の影響で「しみ・いぼ様病変」が目立ちやすい方もいます。気になる変化は早めに皮膚科でご相談ください。

老人性いぼ(脂漏性角化症) 少し盛り上がり、わずかに色調不均一

老人性いぼ(脂漏性角化症)の写真 盛り上がったボタンのよう

老人性いぼ(脂漏性角化症)の写真
掲載同意済

老人性いぼ(脂漏性角化症)の写真
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脂漏性角化症とは?
脂漏性角化症は、皮膚に発生する良性の腫瘍であり、年齢と共に増加することが多いです。俗に「老人性いぼ」とも呼ばれますが、これは誤解を招くことがあり、20代やそれ以下の年齢でも見られることがあります。
特徴と症状
- 外観と感触:
- 色:黒色や褐色、赤色など様々な色調。
- 形状:平らなものから、ドーム状、腫瘤状、ボタン状に隆起したものまで様々です。黒い粘土をベタベタと貼り付けたようなものもあります。
- 大きさ:数ミリから4cm以上になることもあります。多くは数mm大から、1cm大です。
- 感触:ざらざらした表面を持つことが多いです。
- 発生部位:
- 顔(顔のイボ)、胸(胸のイボ)、背中(背中のイボ)、お腹(お腹のイボ)、手足、頭(頭のイボ)など、体のどこにでも発生します。
- 症状:
- 通常は無症状ですが、時にはかゆみや炎症を伴うことがあります。
- 赤くなる場合もあり、その際には根本的に取る必要があります。対症療法で炎症を取る塗り薬を処方することもあります。

年齢によるイボ、脂漏性角化症が背部に多発しています。多発することも単発のこともあります。
鑑別診断の重要性
脂漏性角化症は、見た目が似ているため、悪性腫瘍と区別することが重要です。以下のような皮膚癌と鑑別する必要があります。手術、抗癌剤など経験のある皮膚科専門医でなければ区別ができません。皮膚科専門医ですら診断が難しい症例もときにはあります。
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 基底細胞癌
- 有棘細胞癌
- 無色素性悪性黒色腫 ほくろの癌なのに赤い腫瘍
- 皮膚付属器癌(汗腺や、脂腺などの癌)
診断方法
- 視診:
- 皮膚科専門医が視診で診断を行います。(消化器内科医が内視鏡で早期胃癌を区別するような高度が技術が必要です。)
- ダーモスコピー:
- ダーモスコピーを使用して皮膚病変を拡大観察し、特徴的なパターンを確認します。
- 皮膚生検:
- 疑わしい場合や診断が難しい場合は、皮膚生検を行い顕微鏡検査で細胞レベルまで詳細を確認します。
治療方法
- 液体窒素療法(凍結療法):
- -196度の液体窒素で病変を凍結し除去します。
- 小さなもの(3mm程度)は、通常3回程度の通院で治療可能です。(当然人によって異なりしてみないとわかりませんが目安として、早いと、1回、長いと6回程度です。)。
- 大きなもの(1cm以上)は、治療回数が増えることがあります。
- これらはあくまで目安であり、実際には個人差が大きいです。
- 4歳の子供でも受けていますので、その程度の痛みはあります。
- その他の治療法:
- 切除術は保険適応です。しかし、合併症を考えると通常は凍結することが多いです。レーザー治療なども選択肢ですが、自費診療になり保険は使えないので、かなり高額になります。そのため当院ではいぼのレーザーは行っておりません。
治療後のケア
- 経過観察:
- 治療後も定期的に皮膚の状態を観察し、再発や新たな病変がでたら、皮膚科専門医を受診してください。
- 生活習慣の見直し:
- 日焼け止めを使用するなど、日光から皮膚を守ることが重要です。

茶色で少し盛り上がっています。地図状の形や丸、楕円形などの形があります。色は均一です。
- 日焼け止めを使用するなど、日光から皮膚を守ることが重要です。
費用と保険適用
- 保険適用されるため、患者負担は3割負担で3カ所以下の場合1回630円、4個以上の場合1回810円です。1割負担であれば、3カ所以下の場合1回210円、4個以上の場合1回270円です。
注意事項
- 自己診断の危険性:
- 自己診断は避け、必ず日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の診察を受けることが重要です。
- 早期受診の重要性:
- 早期に皮膚科専門医を受診することで、適切な治療を受け、悪性腫瘍との鑑別をすることが大切です。
- 悪性腫瘍であれば、命に関わる場合があるためです。
脂漏性角化症は、見た目の変化が気になることが多いですが、適切な診断と治療を受けることで安全に対処できます。皮膚に気になる変化が見られた場合は、早めに皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
脂漏性角化症(老人性いぼ)とは
脂漏性角化症は、皮膚の表面にできる良性腫瘍(良性のできもの)の一つで、年齢とともに増えやすい傾向があります。俗に「老人性いぼ」と呼ばれますが、20代など若い年代でも出ることがあり、年齢だけで決めつけるのは適切ではありません。
見た目は「いぼ」に似ますが、ウイルスが原因の尋常性疣贅(ウイルスいぼ)とは別物です。治療方針が変わるため、自己判断よりも皮膚科での評価が重要です。
こんな見た目・症状が多いです(セルフチェック)
見た目の特徴(よくある所見)
- 色:褐色〜黒色、時に赤褐色など(色むらがあることも)
- 形:平ら〜ドーム状〜ボタン状に盛り上がる、表面が“貼り付いた”ように見えることも
- 触り心地:ザラザラ、角質が厚く硬い、表面がぼそぼそすることが多い
- 大きさ:数mmから、時に2cm以上へ増大することがあります
自覚症状
- 多くは無症状
- ただし、衣類のこすれ・汗・乾燥・掻きこわしで次が起こることがあります
- かゆみ
- 赤み(炎症)
- ひっかけて出血
できやすい部位
- 顔(こめかみ・頬)
- 首
- 胸、背中、腹部
- 頭皮、四肢など
体のどこにでもでき得るのが特徴です。
原因・増える要因(皮膚科専門医の視点)
脂漏性角化症の原因は単一ではありませんが、臨床的には次の要素が関係すると考えられます。
1) 加齢変化(皮膚のターンオーバー・角化の変化)
年齢とともに皮膚の角化や細胞増殖のバランスが変わり、脂漏性角化症が増えやすくなります。
2) 紫外線(慢性的な日光曝露)
顔や手背など日光が当たりやすい部位に出やすいことから、紫外線は増悪要因の一つと考えられます。 北九州でも屋外活動・車移動・通勤通学で日光曝露は積み重なります。
3) 北九州の地域特性:紫外線・季節の影響
北九州、当院のある八幡西区をはじめ、若松区・中間市・遠賀町・岡垣町・水巻町周辺は、本州より南に位置するため、 紫外線の影響を受けやすく、しみ(色素斑)や脂漏性角化症ができやすい方がいると考えられます。 日頃からの紫外線対策は、しみ予防だけでなく、結果として脂漏性角化症が目立ちにくくなることにもつながります。
放置して大丈夫?(受診の目安)
脂漏性角化症自体は良性であることが多い一方、問題は「似ている別の病気がある」ことです。
特に受診をおすすめする変化(チェックリスト)
- 急に大きくなった
- 色が急に濃くなった/まだらになった
- 形がいびつ、左右非対称になった
- 出血やびらん(ただれ)を繰り返す
- かさぶたが何度もできる
- “ほくろっぽい黒さ”が強く心配
- 以前と見た目が明らかに変わった
こうしたときは、脂漏性角化症だけでなく、悪性黒色腫(メラノーマ)・基底細胞癌・有棘細胞癌などとの鑑別が必要になることがあります。 当院でも、外見上は「いぼ」様に見えても、検査(生検)でボーエン病が見つかるケースがありました。
鑑別(見分け)が重要な理由
脂漏性角化症は「良性に見える」ことが多い一方で、臨床現場では似た見た目の病変が多く、経験と観察が必要です。 拡大して観察するダーモスコピーは鑑別に使う場合もあります。
鑑別に挙がる代表例
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 基底細胞癌
- 有棘細胞癌
- 日光角化症、ボーエン病など(表面がガサガサ、赤み、かさぶた等)
結論:「いぼっぽいから大丈夫」と決めず、診断の確からしさを上げることが安全につながります。
診断方法(ひびきの皮ふ科での考え方)
- 視診・触診:形・色・境界・表面の質感を評価
- ダーモスコピー(する場合もあります):拡大観察で特徴的所見を確認
- 必要時:皮膚生検:診断が難しい場合や悪性が否定できない場合に検討
治療(保険中心)—「取る」か「様子を見る」か
脂漏性角化症は、必ずしも全例で治療が必要ではありません。 ただし次のような場合は治療のメリットが大きいです。
治療を検討するケース
- 引っかかる、出血する、痛む
- かゆくて掻いてしまう
- 炎症を繰り返す
- 美容的に気になる(顔・首など)
- 診断上「除去して確認したい」場合
- 大きくて邪魔になる
治療法の比較(メリット・注意点)
手技(処置)による治療の比較表
| 治療法 | 保険適用 | 向いている病変 | メリット | 注意点(副作用/ダウンタイム) |
|---|---|---|---|---|
| 液体窒素(凍結療法) | 〇 | 小〜中型、複数個 | 皮膚科で標準的・短時間・繰り返し可能 | 水ぶくれ、痛み、色素沈着/色抜け、複数回必要 |
| 切除 | 〇 | 大きい/診断確認が必要 | 1回で取れる、病理検査ができる | 出血、縫合が必要 |
| ノーリス(自費) | 自費 | 顔のシミをうすくしたい方 | ダウンタイムが少ない | 自費。完全に消えるわけではない |
※費用は治療内容・個数・部位・診療報酬改定等で変動します。受診時にご案内します。
「治療薬(塗り薬・市販薬)」の位置づけ比較(誤解が多いポイント)
脂漏性角化症は、基本的に“塗って消す”病変ではなく、処置で除去する治療が中心です。市販薬では効かないことが多いです。 一方で、炎症やかゆみ、こすれを抑えて“悪化させない”ための外用は役立つことがあります。
- 目的:かゆみ・炎症・掻きこわしの予防、摩擦刺激の軽減
- 注意:外用は「病変を消す」目的ではなく、「悪化を防ぐ」補助として位置づけます
治療ステップ
気になるできものを発見
│
├─ ① まずは皮膚科で診断(視診+必要ならダーモスコピー)
│ │
│ ├─ 悪性や前がんが疑わしい → 生検/切除などで確認
│ │
│ └─ 脂漏性角化症が疑わしい
│ │
│ ├─ 症状なし・小さい → 凍結療法
│ │
│ └─ ひっかかる/出血/かゆい/見た目が気になる
│ │
│ ├─ 液体窒素(凍結療法)を検討(保険)
│ │
│ └─ 大きい・診断確認が必要 → 手術、生検
治療後のケア(色素沈着・再発予防の要点)
治療直後〜1〜2週間の注意
- まれですが、水ぶくれができた場合はカットバンをして、かさぶたになるのを待つ
- こすらない・ひっかかない(摩擦を避ける)
色素沈着を減らすコツ
- 紫外線対策:日焼け止め、帽子、日傘
北九州での生活に合わせたアドバイス
北九州は本州よりも紫外線が強いと感じる方も多く、日頃の紫外線対策が重要です。 日焼け止め対策をしてシミを防ぎ、結果として脂漏性角化症が目立ちにくくなることを目指しましょう。 かゆい時期は早めに皮膚科で治療(対症療法で掻破を止める)することも大切です。
よくある誤解
- 脂漏性角化症は多くが良性だが、似た皮膚がんがあるため診断が重要
- 治療の基本は液体窒素などの処置で、塗り薬だけで消すのは難しい
受診のタイミング
以下に当てはまる方は、早めの受診をおすすめします。
- 「いぼ」だと思うが本当に良性か不安
- 黒い/まだら/形がいびつ
- ここ数か月で変化が大きい
- 出血・ただれを繰り返す
- 首や顔で見た目が気になる、ひっかかる
皮膚病変は、診断が治療の第一歩です。気になる変化があればご相談ください。
Q & A(よくある質問)
- Q:脂漏性角化症は放っておいても大丈夫?
A:多くは良性ですが、見た目が似た病気があるため、初回は皮膚科で診断を受けるのが安全です。 - Q:うつりますか?家族に感染しますか?
A:脂漏性角化症自体は一般に感染性ではありません(ウイルスいぼとは別です)。そのため、うつりません。 - Q:市販のいぼ薬で取れますか?
A:脂漏性角化症は“塗って消す”タイプではないので、市販薬では効かないことが多いです。 - Q:液体窒素は痛いですか?
A:痛みはありますが、4才のお子さんでも治療に来られています。大人の方は多くの場合、治療継続は可能です。 - Q:何回くらい通院が必要ですか?
A:大きさ・厚み・部位で変わります。例えば(全例ではありません)1cmで高さ2mmくらいなら12回くらい、5mmで高さ1mmなら8回くらい、13mmで高さ4mmなら20回くらいの目安になることがあります。複数回になることが多いです。 - Q:取ったあと、跡は残りますか?
A:体質や部位によって、赤みや色素沈着が出ることがありますが、数週間から数ヶ月で薄くなることが多いです。 - Q:再発しますか?
A:同じ場所が再度目立つことや、別の場所に新しくできることはあり得ます。その場合はまた凍結して取ります。 - Q:黒くて心配です。メラノーマとどう違う?
A:悪性黒色腫(メラノーマ)は色や形が不均一なことが多い一方、脂漏性角化症は比較的均一なこともあります。ただし見た目だけでの判断は危険です。皮膚科専門医を受診しましょう。 - Q:北九州だと悪化しやすい要因はありますか?
A:北九州市は本州より南にあるため、紫外線の影響を受けやすく、シミができやすい方がいます。シミが増えたり濃くなると、脂漏性角化症が目立ってくることもあります。 - Q:受診当日に治療できますか?
A:病変の状態・数・部位、鑑別が必要かどうかで当日処置の可否は変わります。まずは診断を優先します。脂漏性角化症であれば、当日治療が可能なこともあります。