この記事の3行まとめ
1 脂漏性皮膚炎は、頭皮の多いフケや顔(鼻の横など)の赤み・かゆみを引き起こす慢性の湿疹です。
2 原因は、常在かび=真菌(マラセチア)の異常増殖などです。
3 当院では、炎症を抑える薬と菌の増殖を抑える薬を適切に組み合わせ、再発を繰り返さないための根本的なスキンケアを行っています。
脂漏性皮膚炎 頭皮に赤みがあります。掲載同意済
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1. 脂漏性皮膚炎とは? 概要
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌が盛んな場所(脂漏部位)にできる湿疹です。 初期は単なるフケや乾燥肌と勘違いされやすく、市販薬でこじらせてから来院される患者様が多くいらっしゃいます。あぶら症、ふけ症が原因で、何年も湿疹が続きます。頭ならふけが多く出て、赤み、かゆみが出ることもあります。顔面、耳も同じです。脂漏はふけのようなものです。
原因の要点
マラセチア(真菌)の異常増殖が関与し、皮膚に炎症を起こします。
2. 主な症状とできやすい部位 セルフチェック
以下のような症状が続く場合は、脂漏性皮膚炎の可能性があります。
頭部
頭皮、髪の生え際
顔面
鼻の脇(鼻翼の横)、眉間、耳の周り、耳の中
体幹
胸の谷間、脇の下
代表的な症状
☑頭皮からフケがパラパラと落ちる、またはベタついたフケが出る
☑鼻の横や眉間が赤くなり、カサカサと皮がむける
☑頭皮や顔にかゆみがある(かゆみがない場合もあります)
☑毎日洗髪しているのに、頭皮がフケっぽい
3. なぜ発症する?原因 マラセチア
マラセチア(カビの一種)の増殖
誰の皮膚にも存在する常在菌である「マラセチア」という真菌(カビ)が異常増殖し、皮膚に炎症を起こします。
4. ひびきの皮ふ科の「治療ステップ」
急性期の消炎:今ある「赤み・かゆみ」を素早く鎮める
原因菌の抑制:マラセチア(真菌)の増殖を抑え、環境を整える
5. 治療薬 比較表
当院で処方する主な外用薬(塗り薬)の役割です。症状の部位(頭皮用はローション、顔用は軟膏やクリームなど)に合わせて使い分けます。
| 薬剤の種類 | 期待できる効果 | 使用するタイミング・特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 炎症を抑える外用薬 | 効果の高い抗炎症作用。赤みやかゆみを速やかに鎮める。 | 症状が強い初期段階(STEP1)。集中的に使用します。 | 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医以外の指示の下では副作用(皮膚が薄くなる等)のリスクがあるため、皮膚科専門医の指示通りに使用してください。 |
| 抗真菌薬(外用) | 原因菌であるマラセチアの増殖を直接抑える。ふけを押さえ、予防する。 | 炎症が落ち着いた後の維持期(STEP2)。根本治療の要です。 | 即効性は低いため、根気強く毎日塗り続けることが重要です。 |
6. 脂漏性皮膚炎のタイプ
1) 乳児型
生後2週間から12ヶ月のお子さんにできます。生後6-12ヶ月くらいに治ることが多いです。一生続くわけではありませんのでその間治療で抑えることになります。 頭と顔に多いです。おむつ部位、脇などは頻度はかなり少ないです。黄色いふけのようなものがあります。頭ではこびりつくこともあります。
2) 成人型
大人にできるものです。何年も続くことが多いです。頭の場合、皮膚科専門医であっても初期の尋常性乾癬との区別ができないことがあります。 しかし、時間がたてば尋常性乾癬は全身に広がるので皮膚科専門医は区別ができます。 頭と顔に多いです。脇、へそ、頬部、背部は当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)では少ないです。
7. よくあるご質問(Q&A)
脂漏性皮膚炎は人にうつりますか?
A. うつりません。原因菌であるマラセチアは、誰の皮膚にもいる常在菌です。それが自身の肌環境の変化で異常増殖している状態ですので、他人に感染することはありません。
脂漏性皮膚炎は完治しますか?
A. 成人の場合は、慢性的な疾患のため「絶対に再発しない」状態にするのは難しいこともありますが、適切な治療とスキンケアで「症状が全く気にならない状態」を維持(寛解)することは十分に可能です。乳児の場合は生後6-12ヶ月で完治することがほとんどです。
顔が赤いのですが、お化粧はしても大丈夫ですか?
A. 基本的には可能ですが、悪化するようでしたら、刺激性の少ないお化粧に変えましょう。
ニキビとの違いは何ですか?
A. ニキビは毛穴の詰まりとアクネ菌が原因の「毛穴の病気」です。一方、脂漏性皮膚炎はマラセチアが原因で、毛穴だけでなく面状に赤みやフケのようなカサカサ(鱗屑)が出るのが特徴です。ニキビはブツブツ。脂漏性皮膚炎は、赤く平たいものです。
アトピー性皮膚炎との違いは何ですか?
A. アトピー性皮膚炎は極度の乾燥と強いかゆみが特徴で、肘膝関節の内側などに出やすいです。脂漏性皮膚炎は皮脂の多い場所(頭皮、Tゾーン)に出やすく、フケを伴うのが特徴です。新生児の顔の赤みだけでは区別がつかないことあります。この場合ひびきの皮ふ科ではどちらでも対応できる治療を行い、経過により区別ができるようになれば、さらに治療を発展させていきます。
放置するとどうなりますか?
A. 炎症が慢性化すると、赤みが色素沈着となって残ったり、頭皮の環境が悪化して抜け毛(湿疹性脱毛症)の原因になることがあります。早めに皮膚科を受診してください。
赤ちゃんにも脂漏性皮膚炎はできますか?
A. はい、できます(乳児脂漏性皮膚炎)。生後数ヶ月は母親からのホルモンの影響で皮脂分泌が活発なため、頭皮や眉毛に黄色いかさぶたのようなものができます。大人のものとは異なり、正しい洗浄で多くは1歳頃までに自然に治ります。
ステロイドを使うのが怖いのですが、塗らないとダメですか?
A. 正しく使えば、湿疹治療で非常に有効です。問題になりやすいのは「自己判断で長く使う」「必要な強さで使えていない」場合です。皮膚の病気は1000以上あり、ステロイドも数十種類あるので、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医でないと使いこなせません。部位・症状に合わせて皮膚科で調整するのが安全です。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 公開日 2026年2月27日