じんましん
【まとめ】
・じんましんは「突然出て、しばらくして消える」膨疹(みみず腫れ様の発疹)を繰り返す病気で、かゆみを伴うことが多いです。原因・悪化因子の回避+抗アレルギー薬を中心とした治療が基本です。
・北九州市八幡西区のひびきの皮ふ科周囲では、お風呂のあとにじんま疹が出る人が他の地域に比べて多いです。
・息苦しさ・のどの違和感、意識の低下がある場合はアナフィラキシーの可能性があるため、皮膚科ではなく内科、とくに大きい病院への受診が必要です。
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患者さんからよくご質問を受けますが、急にできるものです。 食べ物が原因なら、毎回きまった食べ物の数時間あとに蕁麻疹が出るはずです。食べ物が原因でないことが圧倒的に多いです。難治性のものもあります。まれには漢方薬を使う場合もあります。
血管浮腫(クインケ浮腫)
じんましんの一種ですが、深いところでアレルギーが起き、唇、まぶた、手足などが腫れるものです。アレルギーの薬で治療します。すぐ治る人もいれば、3年かかる人もいます。その間薬で抑えていきます。ときに高血圧の薬が原因のことがあります。
血管浮腫 転載禁止
血管浮腫 まぶたが腫れ少し赤いです。
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じんましんとは
じんましん(蕁麻疹)は、皮膚の一部が突然ふくらんで赤くなり(膨疹)、強いかゆみを伴うことが多い病気です。「紅斑を伴う一過性・限局性の浮腫」として定義され、皮膚だけでなく、深い部位の腫れ(血管性浮腫)を伴うこともあります。
じんましんの特徴
突然全身に赤みが出る
形や大きさが変わる
かゆい(ときにチクチク)
数時間で出たり引いたりを繰り返す
皮膚の深いところが腫れるタイプ(血管性浮腫)もある
※ 緊急性のある症状(皮膚科では対応できません)
息苦しさ、のどの詰まり感、声がかすれる、吐き気、めまいを伴う場合は、アナフィラキシーなど緊急対応が必要ですので皮膚科で対応できません。内科、特に大きい病院にかかりましょう。それがない場合は皮膚科が専門です。
北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、芦屋町、水巻町、岡垣町、中間市周囲でのじんま疹の特徴
当院には上記の地域からの患者さんが多いですが、お風呂のあとにじんま疹が出る人が他の地域(中国地方など)に比べて多いです。
こんな症状は「じんましん」を疑います
よくある症状
盛り上がった赤み(みみず腫れのような発疹)
強いかゆみ
体のどこにでも出る(腕・脚・体幹・顔)
数時間単位で場所が変わる
夜に悪化しやすい
注意が必要な症状(早めの受診)
まぶた、唇、手足が大きく腫れる(血管性浮腫)
のどの違和感、息苦しさ → 内科、特に大きい病院の受診が必要
腹痛、吐き気、気分不良 → 内科、特に大きい病院の受診が必要
発熱や関節痛を伴う → 内科、特に大きい病院の受診が必要
じんましんの原因(完全に1つとは限りません)
じんましんは、患者さんから「原因は何ですか?」とよく聞かれる病気ですが、実際には現在の医学では大半が分かっておらず、原因不明のことが多いです。診療所、クリニックに来られる患者さんの大多数は原因不明です。世界中で研究中です。その中でも、温熱、寒さ、振動、食事など原因が推定されるものは大きい病院に紹介されることもあるので、大きい病院のじんま疹の患者さんは原因が分かる例がクリニックよりも多くなります。大規模調査は多くは大病院、大学病院が中心ですので、調査結果はあまり診療所、つまり実際の比率を反映していない可能性もありますので、実際に原因が分かるじんま疹の患者さんは大規模調査からみると少ないのです。
主な原因・誘因(原因ではないですが、悪化しやすくするもの)
感染後(かぜ、胃腸炎など)/食べ物(まれに明らかな即時型アレルギー)毎回きまった食べ物を食べた後にでる。/薬剤(解熱鎮痛薬、抗生剤など)/温熱・発汗(入浴、運動、緊張)/寒冷刺激(冷たい風、水)/圧迫・摩擦(衣類、バッグ、下着、ベルト)/疲労・ストレス・睡眠不足/高血圧の薬(ACE阻害薬など)に伴う血管性浮腫
じんましんの種類
発症して間もない
数日〜数週間でおさまることが多い
感染や一時的な誘因が関係することが多い
出たり引いたりを長く繰り返す
原因がはっきりしないことも多い
継続的なコントロール治療が大切
寒さ、温熱、圧迫、こすれ、発汗、日光などで誘発
「出る条件」がはっきりしていることがある
まぶた・唇などが深く腫れる
かゆみより「腫れ感・違和感」が目立つことも
薬剤(高血圧薬など)や別の機序が関与する場合もある
診察で大切なポイント(皮膚科専門医の視点)
じんましんは、アレルギー検査の採血をしても役に立たないことが多いので、症状の出方を確認することが診断・治療の近道になることが多いです。アレルギー検査は現段階では医学研究で発展途上と言え、完成していないと言えるでしょう。
診察でおっしゃられると良いもの
いつから出るか
1回の発疹はどれくらいで引くか
食事、薬、運動、入浴、仕事、睡眠との関係がある場合だけ申告
写真があるか(スマホ写真が非常に有用)
息苦しさ、腹痛、唇の腫れの有無:ある場合だけ申告
市販薬の使用歴(効いたか、眠気はどうか):ある場合だけ申告
検査が必要になるケース
一定の食物をとったあとに毎回数時間以内にじんま疹が出ることが予想される場合。例:小麦、えび、かに
治療の基本方針
①原因・悪化因子の除去・回避(今の医学では分からないことが多い)+ ②抗アレルギー薬を中心とした薬物療法 症状に応じて段階的(ステップアップ)に治療を調整していきます。
じんましん治療のステップアップ
抗アレルギー薬を基本に開始
抗ヒスタミン薬の調整(増量・変更)+補助薬の追加を検討
重症度・経過に応じて追加治療を検討:大きい病院に紹介
※ 実際の治療内容は、急性か慢性か、誘因の有無、血管性浮腫の有無、年齢、持病、眠気の出方などで調整します。
治療薬の比較表
※ 下表は「じんましん治療でよく使う薬の考え方」の比較です。実際の処方は、眠気・運転の有無・年齢・合併症・妊娠授乳・既往歴などで個別に決めます。
1)主な治療薬の役割比較
| 治療薬の種類 | 主な役割 | 使い方の位置づけ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬) | かゆみ・膨疹を抑える | 第2選択の基本治療 | 眠気、口渇など(薬によって差あり) |
| H2拮抗薬(補助) | 補助的に症状コントロールを助けることがある | 抗ヒスタミン薬で不十分な時に追加を検討 | すべての人に必要ではない |
| 抗ロイコトリエン薬(補助) | 花粉症や喘息症状のある症例で補助効果 | 追加治療として検討 | 効果には個人差 |
| 短期の内服ステロイド | 強い炎症や急性増悪の抑制 | 短期間に限って使用を検討 | 副作用のため、通常は使わない。 |
| 抗アレルギー剤 | アレルギーをおさえる。 | 第一選択 | 効かなければ他剤を追加。 |
| 生物学的製剤 | 難治例の追加治療 | 一部の重症例で検討 | 大きい病院に紹介 |
ガイドラインでも、H1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)を中心とし、反応不十分例では段階的に追加・変更し、難治例でオマリズマブやシクロスポリンを検討する流れが示されています。ステロイドは使い方に注意が必要で、長期漫然投与は避ける考え方です。
2)抗ヒスタミン薬の使い分け(実際の診療での視点)
| 観点 | ポイント |
|---|---|
| 眠気を避けたい | 日中の仕事・運転がある方は、眠気の出にくい薬を優先 |
| 夜に悪化しやすい | 服用タイミングの調整で改善することがあります |
| 効きが弱い | 自己判断で中止せず、増量・変更・併用を相談 |
| 頓服で済ませたい | 慢性化している場合は、定期内服の方が安定しやすい |
| 市販薬で効かなかった | 処方薬で調整できることが多いので受診をおすすめ |
日常生活での対処法(北九州市ならではの実践ポイント)
1)かゆみが出たときの応急対応
こすらない・掻かない
熱いお風呂は避ける
初診前なら悪化した時の写真を撮る(診察時に役立ちます)
2)北九州での生活対策(季節別)
当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)ではお風呂のあとにじんま疹が出る人が多いです。
お風呂のあとにじんま疹がでるひとは2時間以上前には薬を飲んでおきましょう。
3)食事・嗜好品
発症直前に毎回同じ食品で悪化するなら記録し、共通する食べ物を見つける→それが原因の可能性があります。
ただし、自己判断で過度な食事制限はしない
アルコール、辛い物、寝不足は悪化要因になることがあります
4)薬の注意(大切)
解熱鎮痛薬で悪化したことがある方は、受診時に必ず申告
高血圧薬内服中で「唇・まぶたの腫れ」がある方は要相談(血管性浮腫の鑑別)
受診の目安(すぐ受診/早め受診)
すぐ受診・救急を考える症状 → 皮膚科で対応できないので、内科 特に大きい病院を受診
息苦しい、のどが詰まる
声がかすれる、飲み込みにくい
めまい、冷や汗、ぐったり
強い腹痛・嘔吐を伴う
皮膚科を早めに受診したい症状
数日〜数週間繰り返す
唇や舌、手足が腫れ、1週間以内にでたり引いたり繰り返す
市販薬で改善しない
仕事や睡眠に支障がある
Q&A(よくある質問)
じんましんはアレルギーですか?
A. そうです。しかし、すべてが食物アレルギーというわけではありません。感染、疲労、発汗、温度差、薬、体質などが複合的に関わることもあります。
原因がわからないのですが大丈夫ですか?
A. じんましんでは原因が特定できないことは珍しくありません。大切なのは、症状のパターンと悪化因子を整理して、症状を安定させることです。
じんましんはうつりますか?
A. じんましんそのものは感染症ではないため、通常はうつりません(ただし、背景に感染症がある場合はその感染症がうつることがあります)。
市販薬で治らないのですが受診した方がいいですか?
A. はい。処方薬では、眠気や効き方をみながら調整でき、慢性化している場合は治療の組み立てが重要です。
どれくらいで治りますか?
A.1回でなおったり、数日、数週間で治ることもありますが、数ヶ月、数年、数十年続くこともあります。お子さんでは比較的短く治ることも多いです。症状を抑えつつ、再発パターンを減らしていく治療が大切です。
ステロイドは使いますか?
A. 強い症状のときに短期間使うことがありますが、じんましんでの長期連用は慎重です。当院ではあまり使いません。
生物学的製剤はどんな時に使いますか?
A. 抗ヒスタミン薬などで十分にコントロールできない慢性じんましんで、重症度や経過をみて検討する治療です。必要なら大きい病院にご紹介いたします。
北九州で悪化しやすい時間はありますか?
A. あります。当院では夜のお風呂のあとでじんま疹がでる人が他の地域に比べて多いです。しかし、それは全体のごく一部で、多くは原因不明のじんま疹です。
受診時に何を持っていけばいいですか?
A. 発疹の写真、飲んでいる薬の名前(お薬手帳、市販薬含む)があると診断にとても役立ちます。
唇やまぶたが腫れるのもじんましんですか?
A. じんましんに伴う血管性浮腫の可能性があります。深い腫れとして出るタイプです。高血圧薬などが関係する場合もあるため、診察で薬の名前を教えて下さい。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年2月22日