掌蹠膿疱症とは?その原因と治療法
要約
・掌蹠膿疱症は、手のひら・足の裏に小さな膿(無菌性の膿疱)を繰り返し、皮むけやひび割れを伴う慢性炎症性疾患です。
・水虫や湿疹と見た目が似ることがあり、必要に応じて検査で鑑別し、外用を基本に段階的に治療を調整します。
・喫煙、扁桃・歯科などの病巣感染、金属などの悪化因子が関与することがあり、治療と並行して対策します。
掌蹠膿疱症の特徴と症状

痛みはほとんどないのが特徴です。細菌感染ではないため、他人に感染することはありません。膿疱や水疱が破れると、ドーナツ状に皮がむけます。膿疱や水疱は多いので、手のひらや足の裏全体に皮がむけたようになることもあり、一般の方は水虫と思うかもしれません。掌は手のひら、蹠は足の裏という意味です。掌蹠膿疱症とは、手のひらと、足の裏に2mmくらいの小さい膿が入った袋=膿疱ができるものです。中には膿になる前の水道水のような透明な水が入った水疱があることもあります。それら膿疱が多発します。水疱のほうが多くて、膿疱が少ないこともあります。痛いことはありません。バイ菌が入っているわけでもありません。膿疱や水疱が破れると、ドーナツ状に皮がむけます。膿疱や水疱は多いので、手のひらや足の裏全体に皮がむけたようになることもあり、一般の方は水虫と思うかもしれません。
掌蹠膿疱症の原因

掌蹠膿疱症の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していることがあります。
・金属アレルギー(特に歯科金属など)/たばこ/扁桃炎/虫歯
これらの原因を取り除くことで、治るケースもあります。
関節痛との関連
まれに鎖骨、胸椎、膝、肘、腰関節、指の間の関節痛などの関節の痛みがある場合がありますのでもしこういった症状があれば医師に伝えてください。掌蹠膿疱症と関連している場合があります。
掌蹠膿疱症の治療法

炎症を取る塗り薬をまずは使います。ビタミンDの塗り薬は予防できたり、わずかに治療効果もあり、ガサガサを取る効果があります。それでもだめなら、光治療を行います。当院にはエキシマライトという機械がありますので、これを当てて治療します。塗り薬よりも効果が高いです。内臓の副作用はありません。週1回程度来られる方が多いですが、週2回までは保険が使え、すればするほど効果があります。 これでもだめならビタミンAの飲み薬があります。副作用は、唇が乾燥したり、亀裂が入ることがあります。この場合は薬の量を減らします。まれですが、肝臓を痛めることもあるので、ときどき採血をしてチェックをします。唇の乾燥や亀裂には塗り薬をつかって押えればだいたい大丈夫です。つかえなければ中止します。
新しい治療法
2025年3月、オテズラという飲み薬が保険で使えるようになりました。当院では使用可能です。当院では何年も前から尋常性乾癬で使っている薬です。ビタミンAの飲み薬の副作用はありません。腹痛、下痢が一部の人に起こります。しかし、多くの人は問題なく使え、生活の質が改善するでしょう。
掌蹠膿疱症の治療は長期的に
掌蹠膿疱症は、完治が難しい疾患ですが、治療を続けることで症状をコントロールすることが可能です。 1回で治せる治療はありません。抑える治療はいろいろありますので、気長に治療しましょう。高血圧の人が血圧の薬で抑えているようなものです。しかし、放っておくと、日常生活に支障があるので、治療を続けるのが普通です。例えば、見た目が悪いと思う人もいます。また握るのに困る場合もあります。歩くのに困る場合もあります。ですから治療はしたほうが良いでしょう。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の指導の下で適切な治療を継続することが重要です。
掌蹠膿疱症のポイント
・「段階的に治療を調整する」ことが基本です(外用→光線→内服→専門的治療)。
・生活改善と悪化因子(喫煙・病巣感染など)への対応を、治療と併走させます。
治療薬・治療法の比較表(例)
外用(第一選択)
代表例:ステロイド外用、ビタミンD外用など
期待できること:炎症・角化の改善、再燃予防
注意点(一般的):塗り方・量が重要。自己判断で中断しない
こんな方に:まず全員の基本
光線療法
代表例:エキシマライト/局所UV
期待できること:外用より効果が上がることがある
注意点(一般的):通院頻度が必要
こんな方に:外用で不十分な方
内服(段階的に追加)
代表例:レチノイド系(ビタミンA誘導体)
期待できること:角化・炎症の改善
注意点(一般的):唇の亀裂、採血でのチェックなど
こんな方に:光線でも不十分な方
内服(新しい選択肢)
代表例:アプレミラスト(オテズラ)
期待できること:難治例の改善が期待
注意点(一般的):下痢・腹痛などが出ることがある
こんな方に:「難治性」で検討
注射(生物学的製剤)
代表例:グセルクマブ等
期待できること:既存治療で不十分な例に
注意点(一般的):大きい病院にご紹介します。
こんな方に:中等度以上/難治例
受診の目安
TROUBLE
- 手のひら・足の裏のブツブツが1か月以上続く
- 皮むけ・ひび割れで、握る/歩くのがつらい
- 市販薬で改善しない、または繰り返す
- 手のひら、足の裏に2mmくらいの膿が多発する
- 前胸部や関節の痛みがある(併存することがあります)
よくある質問(Q&A)
掌蹠膿疱症はうつりますか?
無菌性の膿疱であり、一般に「他人にうつる感染症」ではありません。
水虫との違いは?
見た目が似ることがあります。必要に応じて顕微鏡検査などで真菌の有無を確認し鑑別します。
原因は何ですか?
完全には解明されていませんが、喫煙、病巣感染(扁桃・歯科など)、金属などが関与することがあります。
禁煙は本当に必要?
喫煙は悪化因子として重要です。治療と並行して禁煙に取り組むことで改善が期待できる場合があります。
治療はどのくらい続きますか?
慢性に経過し、良くなったり悪くなったりを繰り返すため、症状を見ながら治療を調整し継続することが一般的です。5年など何年も続くことはあります。
光線療法(エキシマ)はどんな位置づけ?
外用で不十分な場合に検討されることが多い治療です(通院頻度は症状で調整)。
内服薬にはどんな種類がありますか?
段階的に検討します。ビタミンA誘導体(レチノイド)や、難治例ではアプレミラスト(オテズラ)が選択肢になります。
オテズラは保険がつけますか?
保険適応となりました。
病巣感染(扁桃・歯)とは何ですか?
扁桃炎や歯周病などの慢性的な感染・炎症が、症状の悪化に関与することがあります。必要に応じて耳鼻科・歯科と連携して評価します。
再発を減らすために日常でできることは?
禁煙、手足への刺激(摩擦・洗剤)を減らす保護、保湿と角質ケアを継続し、悪化兆候(赤み・水疱・膿疱)が出たら早めに受診することが大切です。
掌蹠膿疱症は何年も続くことが多いですが、皮膚科でコントロールすれば、生活の質が上がります。当院のある北九州エリア(北九州市八幡西区、若松区、遠賀町、岡垣町、水巻町、芦屋町、中間市)などでお困りのかたはひびきの皮ふ科でご相談ください。
執筆 ひびきの皮ふ科院長 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小南賢吉郎 2026年2月16日